こんにちは。北海道札幌市の行政書士、安藤です。

生前は夫に振り回され、義親らとの人間関係に悩まされ続けてきた結果、「子供のことを考えて離婚という選択はできなかったが、せめてお墓だけは夫(もしくは義親)とは別に」と強く願う妻たちが増えている。つまり、あの世では別々に、というわけだ。

引用元:マネーポストWEB

以前スマホ(ドコモ)に入っているdmenuニュースを見てたら、上記記事が目に留まりました。

(見たのはdmenuニュースなのですが、元記事はマネーポストWEBさんからの記事なので、リンク先はマネーポストWEBを設定しております。)

上記記事は昨年9月に『リビングくらしHOW研究所』さんが全国の女性947人に行った、「自分のお墓について、いろいろな条件が許せば、どのようなお墓に入りたいか」というWebアンケート調査に対する結果から導きだされたものらしいのですが...(詳細な結果は以下参照)。

夫と2人で入る「夫婦墓」を選んだのはわずか21.9%、「配偶者の実家」に至っては、全体の6.5%にすぎないという結果が。

引用元:マネーポストWEB

この結果には驚きました。

「配偶者の実家」の墓に抵抗を感じるのは分かりますが、「夫婦墓」を選ぶ方もわずか2割ほど!?

「夫婦」という形式はとっていても、心の中では「死んでまで夫と一緒にいたくない」という方が多いということでしょうか。

さて、上記の『お墓を別にする』。

「お墓を別にするためには、『死後離婚』をしないといけないかも!」と思っていらっしゃる方がいるかもしれません。

この『死後離婚』と『お墓を別にする』ことに関して、離婚問題に詳しい弁護士の佐藤みのりさんが、上記記事の中で解説しております。

「死後離婚をすることと、お墓を別にすることは、法的には無関係。お墓だけの問題なら、姻族関係終了届を提出する必要はありません。夫婦は民法により同居義務がありますが、死後のお墓まで一緒にしなくてはならないという法律はありません。法律に反しなければ、自分の意思でお墓や埋葬方法を選べるのが原則。生前にきちんと希望を伝え、入りたい墓があるなら、墓守である祭祀主宰者に許可をとっておくといいでしょう」

引用元:マネーポストWEB

弁護士さんのお話しを一気に引用してみましたが、「何を言っているのやら??」という方もいらっしゃると思いますので、少し追加の解説をしてみたいと思います。

まず佐藤さんは、「死後離婚をすることと、お墓を別にすることは、法的には無関係。」というお話しから入り、続けて「お墓だけの問題なら、姻族関係終了届を提出する必要はありません。」と仰っております。

ここで、突然出てきた『姻族関係終了届』という言葉に関して、補足説明を致します。

そもそも“姻族”とは何かと言いますと、①配偶者の血族、又は②血族の配偶者になります。

例えばある女性目線から具体例をあげますと、自分の夫の母親(いわゆる義理の母)は①にあたるので姻族になり、また自分の息子の妻(いわゆるお嫁さん)は②にあたるので、やはり姻族になります。

①の場合、夫と婚姻をすることによって夫の母親と姻族関係が生じます。

そして月日は流れ、夫が女性よりも先に亡くなる日がやってきました。

夫が亡くなっても、夫の母親との姻族関係は原則終了しません。

しかし、女性が姻族関係を終了させる意思を表示したときは、これによって義理の母親との姻族関係は終了するのです。

その具体的な条文が、民法728条2項になります。

「夫婦の一方(=夫)が死亡した場合において、生存配偶者(=女性)が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。」(民法728条2項)

※「前項」とは、民法728条1項のことです。728条1項は“離婚したときは、姻族関係が終了しますよ”という条文ですが、“姻族関係を終了させる意思を表示したときも、離婚と同じように姻族関係は終了しますよ”、というのが「前項と同様」という意味になります。

つまり、728条1項と728条2項を合わせた意味は、以下のようになります。

1.夫婦が離婚をすると、妻(あるいは夫)は相手の血族との親族関係が終了(=姻族関係が終了)する。

2.一方、配偶者との死別の場合、姻族関係は当然には終了しない。

3.しかし死別の場合でも、遺された妻(あるいは夫)が姻族関係を終了させる意思を表示したときは、これによってその姻族関係は終了する。

そして、上記3の“姻族関係を終了させる意思の表示”が、『姻族関係終了届』の提出になるのです。

※ちなみに姻族関係終了届に提出期限はありませんが、取り消すことができません。従って、その提出には熟考が求められます。

それでは、弁護士の佐藤さんのお話しをもう一度振り返ってみます。

「お墓だけの問題なら、姻族関係終了届を提出する必要はありません。」

今度は『お墓の問題』について、考えてみましょう。

例えばある女性が、『夫の墓』ではなく『実家の墓』に入りたい、と思っていたとします。

しかしながらお墓に入る時点で、女性はすでに亡くなっています。

つまり、自分ではもうどうしようもないのです。

そこで、“女性の遺骨を処分する権限は、いったい誰にあるのか”

これを考える必要がでてきます。

この遺骨処分権者、実は『祭祀主宰者(さいししゅさいしゃ)』にあると考えられています。

※祭祀主宰者=先祖代々の仏壇やお墓の祭祀財産や故人の遺体、遺骨を承継する人。

“自分の遺骨を処分する権限は、祭祀主宰者にある。”だから、上記記事の最後で佐藤さんは「入りたい墓があるなら、墓守である祭祀主宰者に許可をとっておくといいでしょう」と言っておられるのです。

従って、上記記事を要約した結論としては、

(1)配偶者の血族との親族関係を終了させるのが、『姻族関係終了届』の提出(=死後離婚)。

(2)自分がどのお墓に入りたいかは、『祭祀主宰者』の了解を得ておく必要があるが、これは「死後離婚をする・しない」とは関係ない。

ということになります。

ちょっと前でしたら、「死んだときの事を考えるなんて、縁起でもない!」という方が大半だったと思いますが、死後離婚の話題が出てくるあたり、死後に対する考え方が変わってきているのかもしれません。

今回の「そもそも夫婦は同じ墓に入るべきなのか」というお話しも含めて、当事務所では「祭祀主宰者の指定はできるか」(←自分で祭祀主宰者の指定ができれば、「このお墓に入りたい!」という希望が叶いやすくなりますよね)、また「夫の宗派と実家の宗派が異なる場合、実家の墓に入れるか」といった内容のセミナーを、『お一人様、お二人様が知っておきたい老後や相続のこと』と題して過去に行いました。

上記セミナーは今後も行う予定でおりますので、今回の内容に興味を持たれた方は、ぜひ楽しみに待っていてくださいね。

最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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