こんにちは。北海道札幌市の行政書士、安藤です。

本日は前回の続きです。

※【家族信託って何?】――『一般人の枠に収まらない姉』が、弟と母に家族信託を教授する物語(前編)は、→こちらからどうぞ♪

簡単に前回を振り返ると...

母、長女(A)、長男(B)の3人が母の終活について話し合っている中、『母が施設に入ったら実家をどうするか』という話しになった。

母と弟は実家を売ればいいと思っているが、姉は実家を『売ることが出来ない』と主張

...する内容となっておりました。

それでは続きをどうぞ!

 

 

 

「いい、まずお母さんとあんたは『私たち(姉弟)』が実家を売る手続きが出来る、こう思ってるんだよね。」

と、姉は確認するように聞いてくる。

「そうね。」

「うん、思ってるよ。」

母と僕はそろって肯定する。

「でもね、私たち(姉弟)じゃ実家を売れない。さっきも言ったけど、『売ることが出来ない』のよ。」

「うん、だからその理由を――」

「シャーラップ!! ...黙りなさい、知能の低い弟よ。」

「...」

「そもそも、ここは誰の家?」

唐突に姉が尋ねる。

「...お母さんの家でしょ。」

僕は当然の答えを言う。

「そう。正確には、この家は『お母さん名義の不動産(=実家)』なわけよ。そしてその不動産を売る場合、名義人(=お母さん)が『売りたい』って思わなきゃ売れないの。」

「うん、それは分かる。でもウチは実際、名義人のお母さんも『売りたい』って思ってるんだし、そこは問題ないんじゃないの?」

「そうよ、私も『売りたい』って思ってるわよ。」

これに母も同意する。

「今はね。でも家を売る時って、お母さんが認知症とかになって施設に入った時でしょ。その時も家を売りたいっていう『意思能力』がお母さんにあると思う?」

--なるほど、実際に家を売る時点での意思能力か。でも...

「私は家を売りたいっていう意思をいま持ってるわけだし、認知症になったとしてもそこは変わらないわよ。」

と、母は認知症になった場合でも『家を売りたい』っていう意思はあると主張する。

「私や弟はもちろん、お母さんが施設に入った時に『家を売る』という選択肢が正しいことは分かるわ(今こうして家族で話し合っているわけだし)。でも家を売る時には不動産会社に依頼し、名義人の変更には司法書士に依頼することが一般的。そういう第三者の人達は、今のお母さんの想いを知ることができない。となると、売買契約時に認知症とかで意思能力がないと、『この人は本当に家を売りたいのだろうか。いや売ることは、この人の気持ちに反することになるかもしれない』ということになり、家を売ることが難しくなっちゃうの。」

「なるほどね...」

家を売る『売買契約時』には、当事者の意思能力が備わっていないとダメというわけか。

「はぁ、そういうことなの~。さすがお姉ちゃんね!」

と、母も素直に感心する。

ここまできちんと説明されれば、施設に入る時に家を『売ることが出来ない』ということも、納得せざるを得ない。

普段は少し変わった所もある姉だが、だてに大学の法学部はでていない、といったところか。

「まぁね~。なんたって、『わ~た~し~ 長女A~』だからね♪」

「それを言うなら、『少女A』でしょ。」

と、ツッコんでみる僕。

「よっ、アキナー!」

と、ノリノリな母。

あれ、もしかして僕たち3人は、傍から見ると『ちょっとおかしな家族』なんだろうか...

「--と、とりあえず、家を売る時に『意思能力』が必要なのは理解できたよ。それじゃ意思能力がある今のうちに、実家の名義をお母さんから姉ちゃんに移しておけばいいんじゃない?」

横道にそれた話しを戻す僕の発言に対し、

「お、いわゆる『生前贈与』ってやつだね!」

と、セミナーで学んできた母が得意気に補う。

家を売る時に『意思能力』が必要であるのと同様に、家の名義人を変更する『贈与契約』の場合であっても、名義人の『意思能力』は必要なはずである。

「確かに、認知症になる前に実家の名義を移すという方法は、ある意味正しいわ。ただ『贈与税』が発生してしまうけどね。」

--贈与税。個人から財産をもらったときにかかる税金だ。

不動産(=実家)の名義を母から姉へ移すということは、姉が母から財産をもらうということになる。

この場合、財産を貰った姉が贈与税を支払う必要が生じるのだ。

「でも贈与税がかかったとしても、『家を売ることが出来ない』よりはマシなんじゃないの?」

妥協するしかない、僕がそんな感じで発言すると、

「弟よ、贈与税がかからずに名義を移す方法があることを知らないのかい?」

姉がそんなことを言い出した。

「...そんな方法があるの?」

「あるのよ、『家族信託』という方法が、ね。」

最後の『ね』の残し方にいささかイラッと感じたが、実際『家族信託』という言葉は聞いたことがなかったので、僕は姉の説明を黙って聞いてみることにした。

 

 

 

――(後編)に続きます。

※次回のお話しでは、いよいよ【家族信託って何?】の本題に入っていきます。ぜひお楽しみに!

 

 

最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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