こんにちは。北海道札幌市の行政書士、安藤です。

終活は100人いれば100通りの方法があります。従って、家族がいる方とお一人様とでは、やはり対策が異なります。

お一人様が一番気にかかること、それは死後の事務だと思います。

死後の事務、例えば死亡後の関係者への連絡、葬儀、埋蔵(納骨)、生前にかかっていた病院代、住んでいたマンション(施設)の未払い費用・明渡し、役所等への手続き、光熱費の清算...などなど多種多様です。

こうした事務、一般的には家族が行いますが、お一人様の場合は難しい。そこで『死後事務委任契約』を締結する方が増えています。

どんな契約か。

あらかじめ知人や終活の専門家など、第三者と死後事務委任契約を締結し、本人の死亡後に上記の手続きをしてもらう、といった契約内容になります。

こうした契約を生前に締結しておくことにより、本人は安心した日常生活を送ることができます。

しかし、なかには家族がいるのに死後事務委任契約を締結するといった方もいらっしゃいます。

理由は家族間の不仲。

ずっと連絡すらとっていない。もういない者と同じ。だから死後事務委任契約を締結しておきたい。

もちろん死後事務委任契約はお一人様しか締結できない、というわけではないので、こうした方の選択肢の一つになります。

ただし、『何もアクションを起こさないままの死後事務委任契約締結は、ちょっと待った方がいい』という場合もあるのです。

以下は10月23日の朝日新聞の「声」欄への、投稿記事の内容です。

カフェを経営していた友人は借金を抱えて閉店。そんな矢先に末期がんが見つかった。友人は「私は若い時から好き勝手に生きてきたので、私が死んだら無縁仏として処理して欲しい」と言い、私は玄関のかぎまで預り、買い物や銀行に行って世話した。ただ、他人では限界がある。それよりも妹さんに会って身内の情愛を感じてもらいたいと思い、拒む友人を説得。

引用元:朝日新聞(10/23)

もともと不仲だったのか、単に連絡を取っていなかっただけなのかは分かりませんが、投稿者様のご友人はおそらく「一人で生きる」と決めていたのでしょう。

果たしてご友人は説得に応じるのでしょうか。また、そもそも妹さんは来てくれるのでしょうか。

この事例の結論の前に、私の知り合いの方のお話しをしたいと思います。(個人情報に配慮し、内容を一部変更しております)

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その方はお一人で暮らしておりました。

そんな折、がんが見つかります。

しかし体が動くうちは一人で病院へ行き、体がつらくなってくるとご自身で歩行器を作成し、いろいろ工夫しながら過ごしておりました。

やがて通院から在宅医療へと変更し、トイレへ行くのもしんどくなってきました。

ベッドで寝たきりになっても私はその方とお話しする機会があり、その中で奥様やお子様とは絶縁状態なんだというお話しを伺う機会がありました。

またある時は死後の話を私にして下さり、「自分には面倒を見てくれている人がいる。彼に財産を全部譲りたい」と仰ってました。

家族の関係はその家族でしか分かり合えないと思い、力不足を感じながらも、私はただお話しの相手をするぐらいしかできませんでした。

そんなある日、その方のお部屋から一人の女性が出てきました。

その方は「娘だよ。思い切って連絡をとってみたら来てくれたんだ」と嬉しそうにお話しされました。

奥様やお子様との絶縁状態。

なぜそういう経緯になったかといえば、もともとは奥様とだけ気持ちが通じ合わなかったとのこと。

それがお子様2人も奥様に味方し、「3:1」のような構図になってしまった。

それ以来、その方はお一人で過ごしてきたのですが、このたび娘さん(=この方は長女)と話してみたところ、「確かにお母さんと妹は意見が一致してた。でも私は一緒じゃないよ。お父さんが勝手にそう思っただけなんだよ」と仰ったそうです。

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当ブログにおいても繰り返し述べてきましたが(→例えばこちらの記事とか)、家族といえども考え方はそれぞれ異なります。

単なる『私の家族』という考えよりは、『それぞれ異なる考えを持つ私の家族』という想いを持って接することが大切だと感じます。

『それぞれ異なる考えを持つ私の家族』、だから家族でもコミュニケーションが必要なのです。

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さて、前半の朝日新聞記事。投稿者様のご友人は妹さんにお会いしたのでしょうか。

投稿者様がご友人を説得した後の続きです。

妹さんは翌日きてくれた。

空白を埋めるかのように幼い頃の思い出話をし、妹さんご夫婦に見守られて息を引き取った。私は「独りじゃなかったんだね」と友人の耳元で語りかけた。

引用元:朝日新聞(10/23)

「自分は一人だから」と思っている方。意外と一人ぼっちじゃないかもしれませんよ。

実はあなたにだけ見えていないのかもしれません。

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さあ、ここで『本日は紹介しちゃおう!』のコーナーです。(わー、パチパチパチパチ)

※3回目ですね。(「なんか前にも見たような気がしたけど...何だっけ?」という方は、→こちらの記事をどうぞ♪

本日の言葉はこちらです!

人は思うよりも

一人ぼっちじゃないんだ

すぐそばのやさしさに

気づかずにいるだけ

引用元:365日の紙飛行機(AKB48) 作詞:秋元 康

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最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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