こんにちは。北海道札幌市の行政書士、安藤です。

終活を行うことによって、生前の安心を手に入れることができます。

以前『財産の分け方』(→そのブログはこちらです♪)についてお話しを致しましたので、本日は病気における治療方針に関して述べてみたいと思います。

今後、認知症患者数は増加することが予想されます。厚生労働省の新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)によると、認知症患者数は2025年には約700万人(=高齢者の約5人に1人)に達することが見込まれており、今や認知症は誰もが関わる可能性のある身近な病気と言えそうです。

認知症になると、一般的には意思能力のない状態となります。

また認知症に限らず、病気等により意思(=自分の想い)を伝えることができない場合もあるでしょう。

ではこうした意思能力がない場合、どういう場面で問題となるのでしょうか。

いろいろな場面で問題は起こりえますが、その中でも特に重要なのが『病気における治療方針』だと私は思います。

例えば病気などで「不治かつ末期」な状態になった時に、延命治療を中止し人としての尊厳を保ちながら死を迎えるか(=尊厳死)、あるいはそのまま治療を続けるかを選択することがあげられます。

どちらを選択するのかは、全くもって本人の「自由だ~!」と言えるでしょう(犬井ヒロシさん、すみません)。

しかしせっかく自分の想いを持っていたのに、病気などでその意思を伝えることができない場合、自分の想いとは異なる治療を受けてしまうかもしれません。

なぜなら、本人が自分の意思をお医者さんに伝えることができない場合、代わりに治療方針を決めるのはその家族になるからです。

そして子供が複数いると、兄弟姉妹の間で治療方針がまとまらないのはよくあることなのです。

今回はある姉妹に焦点を当ててみたいと思います。

ある母親には二人の子供がいます。

長女と次女は母とは離れて暮らしていますが、姉妹は同じ市に住んでおり、普段からお互いの家を行き来する仲です。

ある日、母親は家の畑で野菜を収穫している時にひどい頭痛を患い、意識を失い倒れてしまいました。

家の畑は道路からすぐ見ることができる場所にあり、幸いにも近所の方が救急車を呼んでくれ、母親は病院に搬送されました。

姉妹は連絡を受けすぐに病院に向かいました。

病院へ着くとすでに手術中の赤ランプ。どうやら一刻を争う状態だったらしく、母親の病院到着と同時に手術が行われたようです。

「何とか助かってほしい...」お互いの手を取り合い、手術が終わるのを待つ姉妹。

やがて手術中の赤ランプが消えました。お医者さんが手術室から出てきて、姉妹に向かって言います。

「お母様は心肺停止の状態で運び込まれました。今は人工呼吸器によって生きている状態です。CT検査の結果、お母様は脳に重い障害が残り、この先意識が戻る可能性は少ないです。このまま延命治療を続けますか?」

姉妹は唖然とします。医者から言われた言葉が現実味を帯びず、何て言っていいのか分かりません。

しかしここで長女は何とか自分の気持ちを言葉に出し、次女に伝えます。

「とりあえず今は生きているんだし。このまま命ある限り、お母さんには生きていて欲しいよね。」

長女は、当然次女も賛成するものだと思ってました。しかし、次女の口から出た言葉は意外なものでした。

「でもこの状態って生きているんじゃなくて、人工呼吸器で『生かされている状態』だよね。こんなのお母さんが苦しそうだよ。意識が戻る可能性は少ないんだったら、延命治療はやめてもいいんじゃない?お母さんは十分生きたと思うよ。」

次女ももちろん、母親にはずっと生きていて欲しいと思っています。しかし、意識がなくただ生かされているのであれば、それは母親が真に生きていることとは違うと感じているのです。

「それじゃ、あんたは人工呼吸器を外せって言うの?今まだお母さんは生きているんだよ。呼吸器外したら、お母さんは死んじゃうんだよ!」

「分かっているよ。けどお母さん、『治る見込みもないのに無駄に生きたくなんかないよ』ってよく私に言ってたよ。」

「それ本当!? 私はそんなこと1回も聞いたことないよ。あっ、あんたお母さんが早く死ねばいいと思ってるでしょ!確かあんたの旦那さん、パチンコが好きだからよく『お金がない』ってあんた言ってたよね。早く遺産が欲しいんでしょ!」

「なっ、何言ってるのよ!そんなわけないでしょ!お姉ちゃんこそお母さんから何て言われてたか知ってる?『お姉ちゃんはあれに気を付けろ、これに注意しろって最近うるさいのよ。私は寿命がきたらそれに従いたいんだけど、お姉ちゃんはとにかく長生きしなさい!って言ってくるの。だから私の想いを言いにくいのよね』ってお母さん嘆いてたのよ。お母さんの本当の気持ちを分かってないお姉ちゃんに、口を出す権利なんかないわよ!」

「ちょっと!あんたこそよくそんなウソ平気で口にするわね。お母さんが私のこと、そんな風に言う訳ないでしょ!むしろお母さんはね、あんたのこと『あの子、最近よくお金をねだりにくるのよ。婿さんってパチンコだけでなく、競馬もやるようになったらしいのよ。このままだと私の普段の暮らしも厳しいのよね...』って言ってたのよ。お金の亡者のあんたこそ、お母さんの治療方針に口だすんじゃないわよ!」

「お金の亡者って...ひどい!なによ、この『テレビの言うことは間違いないわよ』が口癖ばばあ!」

「姉に向かってよくそんな口が利けるわね!この『それでも夫はいい人なのよ』と夢ばかり見る次女!」

「言ったわね!」

「やるか!」

医者「あの、ここは病院なので...お静かに願えますか。」

「うるさい!関係のないあんたは引っ込んでなさいよ!」

「そうよ!そもそもあんたが手術で、お母さんをちゃんと元気にしてくれてたらこんなことにはならないのよ。このヤブ医者!」

「(ブチっ)お前ら...ふたりともここから出てけー!!」

上記のお話はフィクションです。こんなキレるお医者さんはいません(たぶん)。

しかし、姉妹の主張の違いは(少し誇張がありますが)よくあるものです。

姉妹といっても、家族一緒に暮らしていたときよりも、お互い長い年月離れて暮らしているのです。

その間に出会った人物や起こった出来事に影響を受け、“今の自分”が出来上がっているのです。

そうして出来上がった自分の想いや主張というのは、普段の日常の付き合いではなかなか現れません。

仮に現れたとしても、『お姉ちゃんはお姉ちゃん、私は私』で済むことです(他の家庭の事情にまで、通常は首をつっこまないでしょう)。

しかしそれが自分に関わること(今回でいえば、自分の親)であれば、当然自分にも影響があることなので、こうした時に自分の想いや主張が出てしまいます。

結果、主張が異なれば、兄弟姉妹が仲違いをしてしまうのです。

実は今回の事態というのは、ある対策をしておくことによって避けることができたのです。

なんか長くなってしまいましたので、続きは次回に。

最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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