こんにちは。北海道札幌市の行政書士、安藤です。

2018年11月21日の朝日新聞に、「同性カップル 愛あれば?」という記事が掲載されていました。( 同性婚に関して「賛成」「反対」のそれぞれの主張を掲載したものです。)

『人はそれぞれ』なので、同性婚に関しても様々な主張があると思います。

そうした主張のなかで、今回私は、牧村朝子さん(タレント・文筆家)のお話しを引用してみたいと思いました。

記事を読む限り、牧村さんは同性婚に賛成の立場のようです。

しかし同性婚に関する内容というより、牧村さんのお話しの中に、ある『民法』の規定に関するものが掲載されており、そちらをご紹介したいというのが大きいかもしれません。

まずは、牧村さんの『結婚』に関する主張から。

私の祖母の代までは親に相手を決められ、お見合いで結婚させられる人も少なくありませんでした。結婚しないで生きる自由はありませんでした。年代が上になるほど同性婚に反対する人が多いのは、性別すら自由な結婚を認めてしまうと、自分が生きてきた道を否定されるような感覚に陥るからだと思います。

引用元:朝日新聞(2018.11.21)

その上で、

私にとって結婚とは一緒に生きていくという約束で、必要なのは信頼だけです。住みたい人、生きたい人と一緒に生活することができるようにする。その前提として、まず男女で異なる条件を平等にすることが必要です。婚姻可能年齢は2022年度から男女とも18歳になりますが、女性だけに適用される民法の「離婚後100日は再婚禁止」の規定はなくすべきでしょう。

引用元:朝日新聞(2018.11.21)

と仰っております。

婚姻が成立するためには、『婚姻意思の合致』が必要になります。

これは“婚姻の届出をする意思”があることはもちろん、それにプラスして“社会観念上の夫婦関係を設定する意思”までも必要とされます。

つまり、「この人と本当に夫婦になりたい!だから結婚をするの!」という意思が無いのにした婚姻は、効力を生じないのです。

そうしたことを踏まえれば、「住みたい人、生きたい人と一緒に生活することができるように」なることが、一番大切だと私も思います。

そして牧村さんが上記記事で述べられた、 “ 女性だけに適用される民法の「離婚後100日は再婚禁止」の規定 ” 、このことについて少し解説してみたいと思います。(本日の本題です!)

民法では、『男性だけに適用される』、あるいは『女性だけに適用される』という条文が存在し、上記民法(733条)もその一つです。

では、その民法733条を見てみましょう。

「女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」(民法733条1項)

これは、“女性は離婚後100日経過してからでないと、再婚できませんよ”という条文です。

では、なぜこんな条文が存在するのでしょう。

法律を作った人から、女性への嫌がらせ?

いえいえ、実は法律を作った人なりの根拠があるのです。

以下に事例を用いて、ご説明したいと思います。

ある女性がA(男)と婚姻をしておりました。

しかし、お互いその婚姻がしっくりこなかった為、協議離婚をすることになりました。

そして女性はAとの離婚からわずか30日後に、B(男)と再婚をしました。

女性は、A(前夫)と離婚してから250日後(つまり、Bと婚姻中)に、子供を生みました。

事例は、上記になります。

ここで、ある疑問が生じるかもしれません。

それは“ 女性が生んだ子供は、AとBのどちらの子なのか ”ということです。

「そんなもの、女性に聞けば分かるでしょ。」

―大体は、その通りです。

しかし生んだ事情も、人それぞれあります。

今回の事例では、女性とAは協議離婚(=夫婦ともに離婚の意思があり、話し合った上での離婚)を選択されました。

ただし、中には夫からの暴力などにより、離婚を選択される場合もあるでしょう。

そうした場合、どちらの子であるかの立証が困難なこともあります。

そこで民法は、772条という条文に父性推定の規定をおきました。

まずは、772条2項の条文から見ていきましょう。

「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」(民法772条2項)

なんか、難しい条文ですねぇ...

この条文は分けて考えると、(多少)分かりやすくなります。

そこで、772条2項を以下のように2つに分けてみます。

(1)「婚姻の成立の日から200日を経過した後に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」

(2) 「婚姻の解消若しくは 取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」

上記のように、分けてみました。

まずは、Aとの離婚から見ていきましょう。

Aとの離婚は(1)、(2)のどちらが当てはまるのかと言えば、「婚姻の解消若しくは取消しの日」という文言がある(2)の方になります。

(2)は、『離婚後300日以内に生まれた子→(Aとの)婚姻中に懐胎した(=身ごもった)ものと推定する』という規定。

今回の事例には、「女性は、A(前夫)と離婚してから250日後(つまり、Bと婚姻中)に、子供を生みました。」との文言があるので、(2)から『女性が生んだ子は、Aとの婚姻中に懐胎したものと推定される』という結論になります。

「おっ、解決したじゃん。じゃ、これにて終了~。」

...とはなりません。

現在出ている結論は、『女性が生んだ子は、Aとの婚姻中に“懐胎したものと推定”される』というものです。

Aとの婚姻中に“懐胎したものと推定”されているだけで、“Aの子とは推定されていない”のです。

そこで、今度は“Aの子と推定”される条文を探すことになります。

―この条文はすぐ見つかります。それは民法772条1項です。

「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」(民法772条1項)

先ほどの772条2項での結論は、『女性が生んだ子は、Aとの婚姻中に“懐胎したものと推定”される』というものでした。

そして、この民法772条1項は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」というのです。

では、『民法772条2項』と『民法772条1項』を合わせることによって出た結論は何かというと、

Aと離婚してから300日以内に生まれた子は、

Aとの婚姻中に懐胎した子と推定(民法772条2項)され、同時に、

Aの子と推定(民法772条1項)される

というものになります。

「お、やはりAの子じゃん。今度こそ解決だね!」

...すみません、とはならないのです。

「なんでやねん!民法も『Aの子』って言っているやろ!ホンマしばいたろか、ワレ!!」

(...そんな不慣れな関西弁で文句を言わなくても)実はですね、今までのは“A”に関してのみのご説明なんです。

確かに、一般的には『AかBのどちらか』を検証すれば、答えは出てきます。

しかし今回の女性は、民法の規定に違反して再婚をしました。

(民法の規定では離婚後100日経ってからでないと、女性は再婚できません。にもかかわらず今回の女性は、離婚からわずか30日後に再婚をしました。)

こういったイレギュラーな事案では、もう一人の登場人物である“B”に関しても、検証する必要があるのです。

というわけでBの方も見ていきたいのですが、長くなってしまいました。

続きは次回に。

最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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