こんにちは。北海道札幌市の行政書士、安藤です。
当事務所では認知症対策に力を入れています。
といっても治療ということではなく、「認知症になっても大丈夫なように、親が元気なうちに対策をしましょう!」というものです。(→詳しくはこちらの当事務所サイトをご覧ください♪)
もちろんそれとは別に、医療機関において認知症の治療を続けることはとても重要です。抗認知症薬(アリセプトなど)を使用して、認知症の治療を続けている方もいらっしゃることでしょう。
しかしこうした抗認知症薬が、“本来は必要ない人に薬が処方された可能性がある”という記事がありました。
以下8/24の朝日新聞の記事です。
アリセプトなど4種類の抗認知症薬はアルツハイマー病などに処方される。ただ病気自体は治せず、症状の進行を抑えるだけだ。一方、認知症の中には脳の一部が圧迫を受けているなど、対処すれば大きく改善する例もあり、「治る認知症」と呼ばれている。
引用元:朝日新聞(8/24)
そして、
甲状腺の機能低下もその一つ。血液検査で判別でき、ホルモン薬で治療できる。
引用元:朝日新聞(8/24)
とのことです。
認知機能が低下すれば一般的に「認知症だ」と判断しがちですが、この認知機能の低下が甲状腺の機能低下によって引き起こされているのであれば、抗認知症薬を投薬せずに改善が望めるのだそうです(具体的にはホルモン薬で治療できるとのこと)。
そしてアリセプトなどの抗認知症薬を投薬されることによって、副作用(吐き気など)を受けるおそれがあると記事に書かれています。
「治らない認知症」と「治る認知症」...おそらくこの両者を区別する判断は、お医者さんでも難しいのでしょう。
これからの超高齢社会ではお医者さんに丸投げではなく、診断を受ける私達も、こうした新聞記事に掲載されている程度の知識は必要なのかもしれませんね。
この記事は“認知症の方に対する治療への対応の難しさ”という内容ですが、これに似たお話しとして“高齢者に対するお声がけの難しさ”というものがあります。
平松類氏著者の『老人の取扱説明書』という本がSB新書から出版されているのですが、この本のなかに“高齢者は約束を忘れてしまう”という内容が載っています。
「物忘れ=お年寄りだから」みたいに思う方もいらっしゃるかもしれませんが、著者は“必ずしもそうではない”と述べています。
以下『老人の取扱説明書』より。
Jさんは法事があって、親戚と台所で食事の準備をしていました。ちょうどその時、親戚の叔父さんが近所に買い物に行くというのです。
Jさんが「お醤油が切れそうなので、買ってきていただけます?」と伝えると、「ああ」と言って笑顔で叔父さんは出ていきました。
でも戻ってくると、叔父さんが手にしているビニール袋の中味は、ビールとおつまみのスルメイカだけ。醤油はありません。叔父さんに「あの、お醤油は...?」と聞くと、「醤油が、どうかしたの?」と完全に忘れているようでした。
引用元:老人の取扱説明書(SB新書)
そしてこの事例に対し著者は、
これは、忘れているということもありますが、そうではなく聞こえなかったということも大いにあり得るのです。「年を取りすぎて、記憶力が弱っているだけ」とすぐに片づけてしまうのはよくないことです。
引用元:老人の取扱説明書(SB新書)
と述べています。
高齢者の場合は(特に大人数での)会話が聞き取りにくいそうです。
そして会話が聞こえなかった場合、「聞こえなかったから、もう一度言って」と言ってくれればいいんですが、高齢者はついつい聞こえているふりをしてしまうそうです。
その理由として、何人かの会話の中で「自分だけが聞こえなかったといって、会話の流れを止めたくない」という思いがあるのだと、著者は言っています。
この「聞こえたふり」、高齢者に限らず私達もしていそうですよね。
私も100%全部の会話をしっかり聞いているわけではなく、友人との何でもない会話などをたまにスルーしているのかもしれません。
ただ約束事といった大事なことは、きちんと聞き返します(ほとんどの方もそうしていることでしょう)。
しかし高齢になってくると、スルーする会話の幅がおそらく広がってしまうのでしょうね。
最初の“認知症の方に対する治療への対応の難しさ”というお話しと、この“高齢者に対するお声がけの難しさ”というお話し...両者の共通点は、『自分ではない全ての人(つまり他人)のことを100%理解するというのは難しい』ということだと思います。
“自分のことしか考えないでいい”、そんな世界があればどんなに楽なことか。
しかし現実は、人と関わらないで生きていくことはほぼ不可能です。
であるならば、“せめてこの人のことは理解してあげたい”と思う方がいるのであれば、『何度もコミュニケーションをとっていくことがその方を理解できる一番の近道』ではないかと私は思います。
ということは、あなたに対して何度もコミュニケーションをとってくる方は、『あなたを理解したい!』のかもしれません。
もしかして、それは恋の始まりかもしれないですね!
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
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