こんにちは。北海道札幌市の行政書士、安藤です。

以前のブログにおいて、『そもそも病院での終末期対応は厳しいのではないか』という意見がある旨の記事を書きました。(そのブログは→こちらです♪

人生の最終段階において、『穏やかな老後』を過ごすためには、「在宅と病院のどちらがいいか」迷われている方もいらっしゃることでしょう。

そして、「私は、『病院の医師=悪、在宅医=善』という考えは、多少危険であると感じます。」ということも、上記ブログで述べさせて頂きました。

上記記事の真意は、『人はそれぞれ』でありますので、“病院の医師”あるいは“在宅医”というだけで判断してしまうのは何か違うと思ったからです。

ただもしかしたら、“病院の医師”として勤務しているだけでは『気づかないこと』もあるのではないか(つまり、その医師が良い悪いではなく、病院での勤務中は気づきにくいのではないか)、そんな事例を2019年1月12日の朝日新聞be on Saturdayより、本日はご紹介したいと思います。

永源寺診療所長の花戸さんは、いつも肝に銘じていることがあります。

それは、「医療で生活の邪魔をしない」こと。

そんな風に思うようになったのは、訪問診療で最初に出会ったある患者さんのおかげのようです。

その患者さん(昭さん)は難病を患っており、「既に10年以上自宅で介護を受けながら生活していて、少し前からご飯が食べられなくなって」いた状態です。

そんな昭さんを前にして、大きな病院から移ってきたばかりの花戸さんは、「最高の医療を」との思いを持ちながら治療を行っていました。(具体的には、「血液検査をしては、新しい薬を処方し点滴」をするなど。)

そんなある日、花戸さんの後ろにいた昭さんの奥さんが、ある言葉をつぶやきます。

「先生、もうあかんな……」。

引用元:朝日新聞 be on Saturday(2019.1.12)

この奥さんの言葉を聞き、花戸さんはどう感じたか。

病院では言われたことのない、医療を否定する言葉に、驚きと怒りを覚えながら振り返ると、奥さんだけでなく家族や親戚、ご近所の方々がベッドを取り囲み、昭さんをじっと見ていました。湧いていた怒りは消え、病気ばかりを診ていた自分は、この場には不要な存在であるかのように感じました。

引用元:朝日新聞 be on Saturday(2019.1.12)

「病院では言われたことのない、医療を否定する言葉」...もしかしたらこれが「病院での終末期対応は厳しい」理由の一つかもしれませんね。

ご家族の本音というのは、病院においては言い出しにくいのかもしれません。

また、本音を思い切って言葉に出してみても、「病院では言われたことのない」言葉を聞いた医者は、はたして素直にご家族の言い分を聞き入れるでしょうか。

人は“これまでの経験”を基に、判断を下し行動に移します。

従って、“これまでの経験”に無かった事柄に関しては、積極的に賛成しづらい面もあります。

「その医師がよくない」のではなく、「経験がたまたま無かった医師」であっただけ。

しかし上記のようなご家族の想いを、“病院の医師”では聞き取る経験が無いのであれば、「病院よりも在宅の方が...」と思ってしまうのも仕方のないことかもしれません。

では「病院の医師は、全員在宅医になるべきだ」という考えに行き着くのは正しいでしょうか。

医療において、“病院としての機能”も必ず必要です。

従って、「全員在宅医」というのは現実味を帯びておりません。

そこで個人的には、『病院の医師と在宅医との交流』が活発に行われれば良いのではないかと感じます。

そうすればお互いの経験を交換し合えるだけでなく、「在宅の患者さんが何日か集中治療の必要性が生じた→病院に入院→容体が落ち着いたので在宅に戻す」といった移動もスムーズにいきそうな気がします。

医療関係者の皆さま(が当ブログを読んでいる可能性はほとんどゼロだと思いますが)、私たちが将来『穏やかな老後』を過ごせるような体制作りを、ぜひお願い致します。

さて花戸さんが肝に銘じている、「医療で生活の邪魔をしない」こと。

「医療で生活の邪魔をしない」ことに関して、花戸さんがより詳しく述べた内容が上記朝日新聞の記事に載っておりますので、その内容をご紹介し本日は終わりにしたいと思います。

病気になった時、その人の生活を支えるために、医療と介護のバランスが大切だと思います。介護が必要になった時には、できるだけ医療を控え、生活を支える介護に重点をおいた方が楽に生活ができます。それは決して医療を諦めることではなく、本人の希望をかなえ、より豊かに人生を送るために必要なこと。そんな生活を邪魔しない医療は「最高の医療」であると、今は確信しています。

引用元:朝日新聞 be on Saturday(2019.1.12)

最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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