こんにちは。北海道札幌市の行政書士、安藤です。

当事務所が提案する終活の一つに、『家族信託』があります。

家族信託は親が元気なうちに、自分の財産を信頼する家族に信託するものです。

一般的には、認知症対策として活用されます。

以下、週刊ポスト(2019年2月8日号)より。

親が亡くなったとき、銀行口座が凍結されることはよく知られているが、親が「認知症」になったときも、銀行預金から証券取引、年金が振り込まれる口座まで凍結され、介護にかかる費用や医療費、生活費さえ引き出せなくなることはほとんど知られていない。

引用元:週刊ポスト(2019年2月8日号)

私たち専門家にとっては上記に関し“周知の事実”といった感じでありますが、一般的にはまだ知らない方のほうが多いのでしょうね。

上記記事には、母親の認知症が進んでしまったため介護施設に入所させるにあたり、母親の預金をおろしておこうと家族のAさんが銀行に行った、という事例が掲載されています。(Aさんは母親のキャッシュカードの暗証番号がわかりません。)

この場合、Aさんは母親の預金を引き出すことができるのでしょうか。

A氏は銀行の窓口に行き、母親の通帳と印鑑で払い戻し手続きをしたところ、「本人が一緒に来るか、委任状を持ってきてください」といわれた。しかし、母親は認知症が進んで委任状が書ける状態ではない。事情を話したところ、「認知症だとお母さんの口座から預金をおろせない」と逆に口座を凍結されてしまった。

引用元:週刊ポスト(2019年2月8日号)

そう、認知症になってしまった母親の口座は凍結されてしまうのです。

それでは、なぜ家族は母親の預金をおろせないのでしょうか。

これは「母親名義の預金はあくまで母親の財産であって、家族の財産ではないから」であります。

皆さまも自分の預金が家族によって勝手に引き出されてしまっては、「おいおい! なに勝手におろしてんねん!」とツッコミたくなるでしょう。

「でも認知症の場合なら、例外を認めてもいいんじゃないの?」

こう思われる方もいるかと思いますが、「認知症の場合」だからこそ、金融機関はかえって家族が引き出すのを警戒します。

なぜなら、口では「母のため」といって預金を引き出したものの、実際は自分の私欲のために使い込みをする家族がいるからです。

この場合、金融機関は他の親族から「なぜ勝手に預金を払い出した!」と責められてしまいます。

従って自分の身を守るために、金融機関は認知症の方の口座を凍結せざるを得ないのです。

こうした凍結を防ぐために、あらかじめ親が信頼する家族と『家族信託契約』を結んでおけば、親が認知症になり介護施設へ入居することになったとしても、家族は親の口座から(正確には、受託者である家族の口座から)入居資金を払うことができ、家族も本人も『安心する日常・穏やかな老後』を過ごすことができます。

※この家族信託は、親が元気なうち(つまり、意思能力があるうち)でないと利用できません。たまに「親が認知症になったので家族信託を利用したい」と相談に来られる方がいますが、認知症の場合だと(状態にもよりますが)、家族信託の利用は一般的には難しい場合が多いです。

そんな家族信託には、認知症対策以外にも有効に活用できる一面も持っています。

それが“振り込め詐欺対策”です。

以下は当事務所ホームページに掲載されている内容ですが、改めて述べさせて頂きます。

高齢者を狙った詐欺は、なかなか無くなりません。

しかし、そもそもなぜ高齢者を狙うのでしょう。

高齢者は一般に判断能力が衰えてくるからというのも一つの理由ですが、もっと重要な理由があります。

それは、高齢者はお金を持っているからです。

お金をたくさん持っており、預貯金を自分一人で金融機関から引き出すことができるから、詐欺グループにお金を払ってしまうのです。

では、高齢者が自分一人で預貯金を引き出すことができなかったら?

「預貯金は子供名義になっているので、子供じゃないとお金をおろすことができない」と詐欺グループに伝えたら?

詐欺グループはあきらめるしかありません。

つまり家族信託は認知症対策にもなり、また振り込め詐欺対策にもなる画期的な終活なのです。

...と、当事務所ホームページの紹介をさせて頂いたところで(広告か?)、以下に『振り込め詐欺におけるもう一つの対策』をご紹介したいと思います。

振り込め詐欺、もちろん悪いのは騙した詐欺グループなのですが、“騙された被害者が自殺してしまう”といった事例も実はあるのです。(以下朝日新聞より)

「孫が会社の金をギャンブルに使った」と信じ込まされ、金を工面した男性。「娘夫婦の店が倒産する」とだまされた女性。「不渡りを出した」という親友を助けようとした男性―。その家族の多くが「ばかじゃないの」などと、きつく責めている。

引用元:朝日新聞(2019.1.21)

子供としては「親が大事に貯めてきたお金、それが詐欺なんかで失くしてしまって...」との思いもあり、思わずきつくあたってしまうのかもしれません。

しかし言葉というものは、発したあと取り消すことができません。

結果、現金をだまし取られた本人が自殺してしまい、責めた家族が後追いを考える例もある。

引用元:朝日新聞(2019.1.21)

騙された方を責めたとしても、このように誰も幸せにならない結果となってしまいます。

上記朝日新聞の記事には、千葉県成田市の寺院で住職を務めている篠原鋭一さんが、振り込め詐欺の被害者からの相談を受ける場面が掲載されています。

※「篠原さんのもとに振り込め詐欺に絡んだ自殺の相談がくるようになったのは7年ほど前。いまは年に数件、深刻な相談を受ける」そうです。

篠原さんが思う、振り込め詐欺がなくならない背景。それは高齢者の孤立があるといいます。

「日ごろ、家族や社会から『捨てられた』という寂しさを感じている。だから詐欺の電話にいまこそ役に立ちたいと反応する。『私の存在を認めて』という心の叫びです。詐欺に気を付けましょう、と呼びかけるだけで事件はなくなりません」

引用元:朝日新聞(2019.1.21)

日頃から家族との会話がない。寂しさもある。そもそも『捨てられた』とまで感じている。

このような家族関係の場合、詐欺グループからの電話があったとしても、親は子供に相談できないでしょう。

『振り込め詐欺におけるもう一つの対策』、それは『家族間のコミュニケーション』だと私は考えます。

日頃からの家族のつながり...これがあって初めて「イザという時に相談ができる」のではないでしょうか。

だから篠原さんも「詐欺に気を付けましょう、と呼びかけるだけで事件はなくなりません」と仰っているのだと思います。

もうすぐゴールデンウィーク。

家族間のコミュニケーションを開始させるには、“いいきっかけ”ではないでしょうか。

皆さまの中には、「仕事などの疲れで、親と話すなんて大変!」という方もいらっしゃるかもしれません。

しかしコミュニケーションをとっていなかったことで、「もっと大変」な未来があることも、ぜひお考え頂ければと思います。

最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

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