こんにちは。北海道札幌市の行政書士、安藤です。
アジア初となる同性婚を認める特別法が17日、台湾の立法院(国会に相当)で可決された。同性同士の結婚が法的に認められ、男女の婚姻とほぼ同様の権利が保障される。
引用元:朝日新聞(2019.5.18)
世界各地で同性婚の法制化が進んでおりますが、アジアではまだどこの国も法制化されていませんでした。そんななか、「アジア初」として台湾で同性婚が認められたのです。
この意義は大きいものと言えるでしょう。
同性婚の法制化に関しては様々な考え方があると思いますが、私は、
このブログのタイトル通り、人は『100人いれば100通り』の生き方がある。
↓
好きになった相手・結婚したいと思った相手が異性の人もいれば、同性の人もいる。
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異性を好きになった人同士が法的に結婚できるのであれば、同性を好きになった人同士も法的に結婚させてあげたい。
という考えなので、同性婚の法制化に賛成の立場です。
(ちなみに一般社団法人ENISHI様の設立記念講演会、「性的少数者の権利擁護と法律実務家の役割」に参加した時の内容は、→こちらのブログでご紹介しております♪)
一方、我が国ではどのような流れになっているのでしょうか。
実は現在、日本各地の地方裁判所に一斉提訴されている状況なのです。
同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は違憲だとして、同性カップル13組が14日、国を相手に1人あたり100万円の賠償を求め、札幌、東京、名古屋、大阪の4地裁に一斉提訴した。憲法が保障する「婚姻の自由」を侵害され、精神的苦痛を受けたと主張している。同性婚の是非を正面から問う国内の訴訟は初めてとみられる。
引用元:朝日新聞(2019.2.15)
果たして台湾に続き、日本は同性婚法制化が認められるのでしょうか。
上記訴訟は現在も続いており、今月上旬には、第2回口頭弁論が各地方裁判所において実施されたようです。
同性婚を認めないのは憲法違反だとして、道内の同性カップルが国に損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が8日、札幌地裁であった。
引用元:朝日新聞(2019.7.9)
私は札幌在住なので、札幌地裁の状況を取り上げてみました。
原告(同性カップル)側は、
同性婚を認めないのは、憲法24条が保障する「婚姻の自由」や、14条の「法の下の平等」に反していると主張
引用元:朝日新聞(2019.7.9)
しております。
これに対し、国はどのような反論をしているのでしょうか。
国側は準備書面で24条について「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」とする規定を根拠に、憲法は同性婚を想定していないと主張した。法の下の平等については触れなかった。
引用元:朝日新聞(2019.7.9)
ここで、双方の主張を少し整理してみたいと思います。
まず原告(同性カップル)の主張として、憲法24条が保障する「婚姻の自由」を挙げております。
ここで憲法24条とはどんな条文なのか、見てみることにしてみましょう。
「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」(憲法24条1項)
この憲法24条は、憲法14条の「法の下の平等」の観念を婚姻生活の面でも徹底させようという趣旨、だと言われています。
憲法は「婚姻の自由」を保障している。→なのに、私たち同性カップルは婚姻を認められていない。→つまり、「婚姻の自由」を侵害されている!
原告はこう主張しているのです。
しかし、この憲法24条の規定には「両性の合意」という文言があります。
そう、憲法24条は婚姻における男女の平等を宣言した規定、とも読み取れます。
従って国は、こう反論したのです。
憲法24条は『婚姻は両性の合意のみに基づいて成立』するものと規定されている。→『両性の合意』とはすなわち、『男女の合意』のこと。→だから、憲法は同性婚を想定していない。
...うーん。一見、国の主張にも筋が通っているように思えます。
しかし果たして、他の見解はないのでしょうか。
というわけで以下に、ある方のご意見をもとに別の見解をご紹介したいと思います。
“HUFFPOST”(https://www.huffingtonpost.jp/2017/04/27/kimura-sota-same-sex-marriage-_n_16285450.html)に憲法学者の木村草太さんのお話しが、インタビューに答える形で掲載されております。
――同性婚に反対する人の中には「憲法24条では婚姻を両性の合意に基づくと書いてあり、つまり男女の合意ということであり同性婚は認められない」と主張する人がいます。
たしかに24条には「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と書いてあります。しかし、この条文が同性婚を否定していると解釈する人は、ここで言う「婚姻」の定義を明確にしていません。その定義が同性婚を否定しているかどうか判断するために重要な要素であるにも関わらず、です。婚姻とは何を指すのかを明確にする必要があります。
24条で言う「婚姻」にもしも同性婚が含まれるとすると、「同性婚が両性の合意によって成立する」というおかしな条文になってしまいます。ですから「ここで言う婚姻は異性婚という意味しかない」と解釈せざるをえないのです。
引用元:HUFFPOST
まず木村さんは、憲法24条の「婚姻」の定義を明確にすることが必要なんだ、と仰っております。
そこで、憲法24条の「婚姻」には同性婚が含まれると仮定しましょう、と提案。
憲法24条の文言の「婚姻」を「同性婚」に置き換えてみると、
「同性婚は、両性の合意のみに基づいて成立」する
という文章になる。
これはおかしな文章だ。
だから憲法24条の「婚姻」には同性婚は含まれず、『婚姻=異性婚(男女の婚姻)』という意味しかないんだ、という主張をされているのです。
(試しに「婚姻」を「異性婚」に置き換えてみると、「異性婚は、両性の合意のみに基づいて成立」する、という意味の通る文章になります。)
従って、以下の結論が導かれます。
つまり24条は「異性婚」は両性の合意のみに基づいて成立するという意味なのです。ここに解釈の余地はありません。そうである以上、同性婚について禁止した条文ではないということです。
引用元:HUFFPOST
憲法24条が言っているのは、“異性婚という男女の婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立するんですよ”、というもの。
そこに、“同性婚を禁止します”という趣旨は入っていない。
従って、憲法24条は同性婚について禁止した条文ではない、という解釈になる。
以上が、国の見解とは異なる“別の見解”です。
国の見解と木村さんの見解、皆さまはどちらの『憲法24条』に賛同されますか?
(補足)
同性婚の法制化に対し賛成・反対の意見が割れている理由の一つに、憲法24条に「両性の合意」という文言が入っていることが挙げられます。ではなぜ憲法24条は、わざわざ「両性の」としたのでしょうか。この問いについても木村さんは、上記“HUFFPOST”の記事において回答しておりますので、最後にこちらをご紹介して本日は終わりにしたいと思います。
――なぜわざわざ「両性の」としたのでしょうか?
この条文ができた沿革ははっきりしています。旧民法では婚姻には戸主や親の同意が必要でした。当事者の意志が蔑ろにされていた。そして家庭の中で女性が非常に低い位置におかれていた。このために、両当事者の意志を尊重する、とりわけ女性の意志がないがしろにされてはならないということで、あえて両性という言葉にしたのです。
引用元:HUFFPOST
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
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