こんにちは。北海道札幌市の行政書士、安藤です。
以前、「QOLは医療だけでなく、終活においても必要ですよ。」という記事を書きました。(そのブログは→こちらです♪)
QOLはQuality Of Lifeの略で、一般的には「生活の質」や「生命の質」という意味になります。
「100人いれば100通り」の考え方があるので、なるべく『穏やかな最期』を望む方もいらっしゃることでしょう。
本人が理想とする生き方、又は社会的に見て人間らしい生活、こうした生き方が実現できない場合に、医療現場では「QOLが低下する」と呼んだりするようです。
このQOL、特に“本人では意思表示が難しいため家族が代わりに判断する”といった場面で問題となります。
例えば鼻チューブ栄養。
鼻チューブ栄養は身体を傷つけないため、家族は比較的、鼻チューブ栄養には同意しやすい傾向があるようです。
しかし、鼻からチューブが四六時中入っている違和感は相当なものらしいのです。
従って、本人は嫌がりチューブを引き抜こうとする場合があるのだと、上記ブログでもご紹介した中村仁一さんは仰っています。
意識があれば、当然、引き抜こうとします。“頭が不自由”な場合は、なぜこんなことをされるのか理解できませんし、説明しても通じません。不快感から逃れようと、隙をみて抜こうとします。しかし、それでは困りますので、手を縛り上げることになります。
しかし、縛り上げてまで与えなくてはならない栄養って、いったい何なのだということです。
引用元:大往生したけりゃ医療とかかわるな 「自然死」のすすめ (幻冬舎新書)
本人が「縛り上げてもいいので、少しでも長生きしたい」という希望が生前にあったのであれば、良いと思います。
しかし、そういった想いを持っていなかったのに「縛り上げてまで」栄養を与えられ、生かされるのは本意ではないことでしょう。
ただ本人の最期の想いを聞いていない家族は、自分たちで判断しなければなりません。
親の最期に関して子供が判断するのは、結構ストレスがかかってしまいます。
『親の想いを実現する』、『子供のストレスを減らす』、この両方を実現するのがアドバンス・ケア・プランニング(ACP)になるのです。
※2018年11月30日、厚生労働省はACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称を「人生会議」に決定しました。(厚生労働省ホームページ→https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02615.html)
またアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に関しては、→こちらのブログをご参照ください♪)
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しかし、この鼻チューブ栄養は誤嚥性肺炎を起こしやすくなるため、「半月から1カ月で再び口から食べられるようになるという確実な予想が立たない限り、選ばれなくなっています」と上記著書で中村さんは述べております。
この誤嚥性肺炎を正しく予防しケアしようという記事が、2018年11月7日の朝日新聞に掲載されていました。
そもそも肺炎は高齢者が亡くなる代表的な原因らしいのですが、その中でも誤嚥性肺炎は「7割ほどを占めるとされる」と上記記事では紹介されています。
そしてこの誤嚥性肺炎に関し、いくつかの誤解があるというのです。
全部はご紹介できませんが、いくつか記載してみたいと思います。
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一つ目は、「誤嚥性肺炎は、のどを鍛えれば防げる」という誤解です。
誤嚥性肺炎は、ものをのみ込む力の落ちた人で確認された肺炎をいう。何らかの形で誤って肺に入ってしまった細菌が原因になりやすい。
のみ込む力を高めることが予防につながるとして、「のどの筋肉を鍛えよう」とする一般向けの情報は多い。
引用元:朝日新聞(2018.11.7)
実は私も、上記記事のように思っておりました。
しかし、東京医科大八王子医療センターの寺本信嗣教授(呼吸器内科)は以下のように述べております。
肺炎につながる誤嚥は、食事中よりも就寝中など、無意識のうちに起こることが多く、のどの筋肉を鍛えるだけでは防げない。たとえ細菌が肺に入っても、せきをして細菌を体外に追い出すことができたり、菌をやっつける抵抗力が体にあったりすれば肺炎にはならない。
引用元:朝日新聞(2018.11.7)
なるほど、誤嚥を100%防ぐことは難しい。ならば、たとえ細菌が肺に入ったとしても、菌をやっつける抵抗力を身に付ければいい。
これは、「認知症を100%防ぐことは難しいので、たとえ認知症になったとしても安心できる対策をとっておきましょう」という当事務所の考えと同じですね!(このことは、→こちらのブログでも述べております♪)
この世は、全て自分の思い通りに物事が進むとは限りません。
であれば、そのための対策をとっておくことは、状況に応じ必要なのかもしれませんね。(大抵の皆さまが保険に入っているのも、イザという時の“対策”のためでしょう。)
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二つ目にご紹介する誤解は、「誤嚥性肺炎の方に口腔ケアは不要」というものです。
まずは誤嚥性肺炎に対して、“治療をしない選択肢もある”という内容。
日本呼吸器学会は昨春、誤嚥性肺炎を繰り返す患者らを想定し、状況によっては「治療しない選択」を認めるガイドラインをつくった。抗菌薬による治療を繰り返すことが、患者の生活・生命の質(QOL)を損ねる恐れがあることを踏まえた。
引用元:朝日新聞(2018.11.7)
おそらく、薬による治療を繰り返すうちに「QOLが低下する」のでしょう。
従って、本人(あるいは家族)が「治療しない選択」をする場合もあるかと思います。
しかし『治療しない選択=ケアをしないではない』と、梶原診療所(東京都北区)の平原佐斗司所長の考えが上記記事の中で伝えられています。
治療しない選択を「ケアもしなくていい」意味だと誤解する医療者もいるという。だが「のみ込む力が完全になくなって口から食べるのが難しくなっても、丁寧な口腔ケアは必要」と平原さんは強調する。ケアにより肺炎やそれに伴うつらさが減り、穏やかな最期につながりやすいという。
引用元:朝日新聞(2018.11.7)
『誤嚥性肺炎になった→口から食べれない→だから口腔ケアは不要』と考える医療者に出会ってしまい、必ずしも本人の希望に沿わない最期となってしまうのか。
それとも、『誤嚥性肺炎になった→口から食べれない→しかし口腔ケアによりQOLの低下を防ぐことが可能→穏やかな最期(本人の想いが叶う)』という医療者に出会えるのか。
これはセカンドオピニオンなどにより、実際に複数の医療者と話しをしてみなければ分からないことでしょう。
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「自分に合った専門家を見つけるためには、複数の専門家に相談することが必要。」
上記は終活に対する当事務所の方針でありますが、これは終活に限らず医療にも当てはまることだと感じます。
『穏やかな最期』を希望する方は、面倒くさがらず複数の専門家とお話してみて下さいね~。
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最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
当事務所へのご相談は→こちらのホームページからどうぞ♪
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